「お金問題①〜③」では、大学までの教育費や習い事費用など、子どもにかかるお金を整理してきました。
今回はその続編として、大学生が一人暮らしをした場合に必要な生活費を、東京と地方の2パターンで比較していきます。
「東京に進学した場合」と「自宅から離れた地方大学に進学した場合」、どれくらい家計に差が出るのか。
母親目線で、できるだけリアルな金額をもとに試算しました。
わが家の実例:親が負担していた項目
筆者(私)が大学生のころ、両親に負担してもらっていた項目は以下の通り。
「自分がしてもらったことは、できるだけ子どもにもしてあげたい」という気持ちがベースにあります。
- 受験費用・入学金などの入学前費用
 - 授業料など大学の学費一式
 - 家賃+光熱費+通信費
 - 仕送り(月4万円)
 
当時の住まいは、家賃4.3万円+共益費0.9万円=月5.2万円。
 これに光熱費・通信費を約1万円、仕送り4万円を足すと、
 月10.2万円×48か月=約490万円。
このほかに入学費や引越し費などもあったので、実際には500万円近くの支援を受けていたことになります。
今思うと、本当に頭が上がりません…。

全国平均の生活費データ(JASSO調査より)
全国の平均像を掴むために、JASSO(日本学生支援機構)「学生生活調査(令和4年度)」を参考にしました。
※最近の物価上昇を考えると、今後はさらに金額が増える可能性があります。
| 項目 | 月平均(円) | 年間(円) | 
|---|---|---|
| 食費 | 22,600 | 271,400 | 
| 住居・光熱費 | 40,000 | 480,500 | 
| 保健衛生費 | 4,200 | 49,800 | 
| 娯楽・嗜好費 | 11,400 | 136,500 | 
| その他の日常費 | 13,400 | 161,200 | 
| 合計 | 91,600 | 1,099,400 | 
このデータは「全国平均」であり、東京圏ではこの金額より高くなる傾向があります。
都市部は家賃が突出して高く、生活費全体を押し上げる要因になります。
東京での一人暮らし(根拠つき試算)
東京都内(文京区・世田谷区・荒川区・板橋区など)で大学生が1人暮らしをする場合を想定しました。
家賃などの目安は、SUUMO「首都圏学生の平均家賃」、アットホーム「大学生の一人暮らし家賃」、および学生生活調査をもとにしています。
| 項目 | 月額(万円) | 1年間(万円) | 4年間(万円) | 
|---|---|---|---|
| 家賃(共益費込み) | 8.5 | 102 | 408 | 
| 食費 | 3.5 | 42 | 168 | 
| 水道光熱・Wi-Fi | 1 | 12 | 48 | 
| 日用品・雑費 | 0.7 | 8.4 | 33.6 | 
| 交通費(徒歩/自転車圏を想定) | 0 | 0 | 0 | 
| 合計 | 13.7 | 164.4 | 657.6 | 
上記金額は、複数の公的データの平均値をもとに、東京都23区の実際の相場感(家賃・物価)に合わせて上限寄りで再計算したものです。
出典:
JASSO「学生生活調査(令和4年度)」
SUUMO「首都圏学生の平均家賃」
全国大学生活協同組合連合会「学生生活実態調査」
総務省 家計調査(単身世帯)
4年間で約660万円+初期費用(敷金・礼金・引越し・家具家電など)。
初期費用だけで家賃3〜5か月分(約30〜40万円)かかるケースもあり、実質700万円前後を見ておくと安心です。

自宅通いの場合の費用イメージ
自宅から通う場合は、家賃や仕送りがほとんど不要になるため、一人暮らしよりも年間100万円前後の節約になるケースもあります。
ただし、通学定期代や昼食代、家庭での光熱費増など、見落としがちな支出もある点には注意が必要です。
全体としては、「家賃・仕送りがない」ことが最大の違い。
家計へのインパクトが最も小さい進学パターンといえます。
※自宅通いの生活費シミュレーション(食費・通信・交際費など)は、お金問題⑥|生活費とシリーズ総まとめ(近日公開予定)で詳しく解説しています。
地方大学との比較(家賃差のみ)
地方都市では、食費や光熱費は地域差が小さいため、明確に違いが出るのは家賃です。
| 地域 | 家賃(共益費込み) | 4年間の差額 | 
|---|---|---|
| 東京(23区内) | 約8.5万円 | - | 
| 地方都市(岡山・金沢・仙台など) | 約5.5万円 | 約 −3 万円/月(4年間で−144万円) | 
※食費・光熱費は地域差が小さいため、本記事では家賃差に限定して比較しています。
4年間で約140万円前後の差。つまり、一人暮らしの生活費の違いは「住む場所でほぼ決まる」と言ってよいでしょう。
(参考)試算値とデータ平均の比較
| 項目 | 試算 | データ平均 | コメント | 
|---|---|---|---|
| 家賃 | 8.5万円 | 約6.5万円 | 文京区・世田谷区など人気エリア想定として妥当 | 
| 食費 | 3.5万円 | 約2.6万円 | 外食+学食+自炊を想定した現実的上限 | 
| 水道光熱 +通信  | 1万円 | 約0.9〜1万円 | Wi-Fi込みで妥当な範囲 | 
| 日用品 ・雑費  | 0.7万円 | 約0.6〜0.8万円 | 家計調査ベースと一致 | 
出典:SUUMO/全国大学生活協同組合連合会/総務省 家計調査

わが家ルールと負担設計(母親目線)
- 親が負担: 学費、家賃(上限設定)、電気・水道・ガス・Wi-Fiなどの基本インフラ、お小遣い等・・・固定費
 - 本人が負担: 食費の一部、交際費、被服費、サークル費など(アルバイトや奨学金でカバー)・・・変動費
 - 通信費: 格安プランなどを検討
 - 家計の見える化: 家計簿アプリで月ごとに共有し、使いすぎを防止
 
まとめ:数字を「わが家のルール」に落とす
・東京:4年間で約700万円(初期費用含む)
・地方:4年間で約550万円(初期費用含む)
・自宅通い: 生活費を大幅に抑えられる
大学生の一人暮らしは、家計にとって大きな投資。
「どの大学に行くか」だけでなく、どこから通うかによって数百万円の差が出ることを意識しておきましょう。
次回は、もらえるお金(給付・奨学金・自治体支援)についてまとめます。
教育費の現実を知ることが、安心の第一歩です。

  
  
  
  



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